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勉強法 勉強が出来る人とできない人の違い

試験対策の精度

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉がありますが、試験対策の精度は敵を知ることに相当します。

残念ながら、試験対策の精度は、多くの受験生において相当低いといえます。

 

まず、受験する大学の過去問題を、直前に力試しでするようでは、合格はおぼつかないでしょう。過去問は、力試しをするためではなく、必要な勉強量や範囲、形式などの情報を獲得するための非常に重要な情報源なのです。過去問は、大学から受験生への「わが大学に来るためには、これぐらいの学力をつけてきなさい」という唯一のメッセージだと考えてください。

 

そのために、過去問は受験勉強スタート時には、さらっと必ずみておいてください。

その際、数学ならどの範囲の問題が頻出か、計算量、似た傾向を出題する大学をチェックしてくだざい。英語なら英作文はどの程度のレベルか、自由英作文はでるのか、単語のレベル、長文の単語数などをチェックしておいてください。

 

よくいわれることですが、東京大学と京都大学の英語は全く求められるものが違います。

東京大学の英語は、簡単な英文を素早く読む情報処理能力が求められ、文法力や総合力が必要とされます。一方、京都大学は難解な文章を、丁寧に構文を把握し解釈する能力と難解な英作文を作成する能力が必要です。求められものが全く異なります。

一見、京都大学の問題が難解に見えますが、ポイントを押さえれば京都大学の方がはるかに短時間で合格点に到達できます。

 

また、東京大学の文系に合格しても慶応大学に不合格になることもよくあります。これも思考力を必要とする東大と情報量を必要とする慶応大学の問題の傾向の相違から生じてきます。

 

だから、過去問をまず研究し、必要な勉強法を把握することが、勉強の無駄を省くことに直結するのです。過去問研究の際、1年前の問題は、直近の問題なので参照せざるをえませんが、力試しのために過去2,3年前の問題は解かないようにしておいた方がよいかもしれません。

 

慶応や早稲田大学と東京大学の問題は、全く異なるのに、使っている問題集や参考書が同じというのも、受験生の試験対策の精度の低さを示す良い例でしょう。もちろん、どの大学を受けるのにも、必要な基本知識や手法はありますが、夏休み以降の勉強では、受験校にあった勉強時間の配分や、問題集、参考書を選ぶことが合格への最短距離です。

 

ある程度実力があり(合格偏差値へ5ぐらい足りないくらい)、自分の実力などを客観的に評価出来る人なら、受験校の数学や物理の過去問を解きながら、わからないところを参考書や問題集で補強する方法は良い方法です。短時間で受験校向け学力を急上昇させることができます。実際この方法で、理系科目を大学別模試で10以上上昇させた生徒はたくさんいます。

但し、入試の基礎体力や実力は必要ですので、過去問を見てもぼんやりしか理解できない人は決して行わないようにしてくだい。

 

自分を客観視できることは重要

この本を書いた目的の一つは、受験生が自己を客観視できるようになるということです。

偏差値が80以上超えるような生徒は皆、自分を客観視できています。自分はどの分野が得意で、どの分野が苦手であるかを把握できているのです。だから、自分の弱い処を補強し、自分に適性のある分野に進むことが可能になります。ところが、成績の悪い生徒は自己を客観視できません。そのため、「今回はたまたま数学が悪かった」「頑張れば直前に偏差値は10伸びる」など根拠のない思考に走り、自分の成績を伸ばすことができません。

 

また、よくある不幸な例が、自分の学力や勉強量、能力などを把握出来ていないために「旧帝大の医学部へ行く」「東京大学に行く」などほぼ不可能な希望を描き、何浪も失敗し、結局合格出来ずに諦めてしまうというものです。

 

夢をあきらめろと言っているのではありません。自分の学力や能力、勉強量などを客観的に把握し、どこの大学になら合格できる可能性があるか、行きたい大学に届いていないなら勉強時間をどれくらい増やして、何年かかるか冷静に考えてほしいのです。

 

たとえば、医学部に行って地域医療をしたい、あるいは研究したいと言っている生徒が、プライドが高く自己を客観視出来ていないために、旧帝大医学を何年も浪人して、合格出来ない例がよくあります。医者に必要な能力や研究者としての能力は、受験偏差値だけでは測定できません。それゆえ、医者になりたいのであれば、自分が合格出来る大学に行って、出来るだけ早く臨床能力を高めた方がよいでしょうし、研究も出来るだけ早い時期に始めた方がよいのです。単なるプライドや願望で大学名にこだわりすぎるのはよくありません。もし、能力があるならば大学院や研修病院で、旧帝大に移る方がはるかに簡単なのです。

 

自己を客観視することは、自分の長所を伸ばし、短所を改善するのに必要不可欠です。また、その能力は人生においても、最も必要な能力の一つです。歌が下手なのにミュージシャンを目指したり、運動が苦手なのにプロ野球選手を目指して、全てを犠牲にするのはもったいないことです。もちろん、届かないかもしれない夢に向かって最大限努力するのは素晴らしいことですが、それも自己の客観的評価が伴った上で努力した方が、成功する可能性は高いといえるでしょう。

 

 

偏差値の方程式

客観的自己評価が自分を成績を上げるために、非常に重要であると書きました。

では、成績あるいは偏差値はどういった要因で決まるのでしょうか?

 

過去の多数の生徒のデータから成績と相関がある要素で、大まかな成績は判断できます。

 

 

学力=勉強の基礎体力(能力、速読力、読解力、記憶力、論理力など)×勉強時間(家庭で自分で行った受験勉強)×学習効率(0.1~2倍)×試験対策精度(1~1.5倍)

 

となります。

この式の合計の高い順に試験では合格確率が高くなります。もちろん、試験には運の要素があるのでボーダー近辺の3割から5割の生徒は、試験問題によって偶然合格したり、不合格になったりする可能性があります。

 

この式を使うことによってある程度自分が、合格偏差値に届いていない理由が推測できます。

学習効率と試験対策精度は、多くの生徒の場合、1倍程度であまり差がついていません。逆にいえば、学習効率を2倍にし、試験対策精度を1.5倍にすれば、他の人よりかなり少ない勉強時間で合格出来ることになります。

 

東大と京大、国立医学部に合格出来るのは約10000人で、18歳の人口は約120万なので、

約120人に一人の人が合格できることになります。

これらの大学に合格するためには、120人中1位の学力をつければよいことになります。

(逆にいえば120人に一人しか合格できないのです。)

勉強の基礎体力が上位2.5%(つまり40人に一人)の人であれば、約4000時間の勉強時間を確保すれば、120人中1位の学力になり、東大に合格出来る可能性があります。

 

この式で評価した場合、皆さんはどう自己分析されますか? 40人に一人の基礎体力があるのかは、中学学校の成績と勉強時間を考えればある程度わかります。公立中学校の時、みんなと同じくらい勉強せずに(1日1時間以内)で、楽々クラスで1、2番取れていれば、4000時間勉強さえすれば、恐らく難関校に合格できるぐらいのレベルでしょう。

 

しかし、我々が見ている限りこの4000時間の勉強時間に到達さえしていないのに、難関校を目指している人が多いように思います。もちろん、勉強効率×試験対策精度を3倍近く上げれば、1500時間程度で合格できる可能性はありますが、灘などの難関校の生徒であっても、この勉強効率×試験対策精度が完璧な生徒はほとんどいません。

 

自分が「100人に一人の勉強の基礎体力がある」と自信がある人以外は、4000時間の勉強時間に到達することを目標にしてください。また、40人に一人の基礎体力があるという自信がない人は、勉強効率×試験対策精度を3倍とは言わないまでも、この本で2倍ぐらいに高めて、4000時間以上の勉強時間を確保すれば合格する可能性がでてくるでしょう。

 

 

 

 

誰でも東大へ行けるのか?

数多くの勉強法の本でよく書いてあるように、その本の通り勉強すればだれでも

「東大京大や医学部に合格」

「偏差値40から70へ」

「最下位からトップへ」

することは可能でしょうか?

 

残念ながら、答えは否です。

いきなり夢を壊すようなことを書いて申し訳ありませんが、それが真実です。

誰でも東大合格できるといえば、本を読んだ人は喜び、本は売れるかもしれませんが、我々の目的は確実に成績を上げる方法や、成績が上がらない原因を理解してもらい、それを改善する方法論を伝えることです。そのために、出来るだけ客観的で、数多くの受験生で検証した情報を伝え、数多くの受験生が成績をあげてほしいと考えています。その方法には絶対の自信があります。

 

しかし、一方で東大、京大、国立大医学部や医学部は120人に一人しか合格できません。

それゆえ、難関校と言われるのです。我々が、家庭教師した生徒は、勉強効率×試験対策精度を極限に高め、急激に成績を伸ばしています。同じ基礎体力の生徒であれば、相当急速に成績を上げることが可能です。つまり、勉強時間の割に成績の伸びる加速度を、相当早くすることは可能です。

しかし、残念ながら、全員難関校に合格というのは難しいと言わざるをえません。実感としては、最高の勉強法で4000時間の勉強時間を確保しても、やはり難関校(東大、京大、国立医学部)に合格できるのは、20人に一人です。 勉強時間を8000時間(高1から浪人まで毎日6時間の家庭勉強)にし、勉強効率を極限まで高めれば、東大や京大の文系や数学の配点の低い医学部であれば、10人に一人くらい可能かもしれません。

 

勉強効率をあげることによって、かなり短時間に自分の最高到達点に到達することは可能ですが、最高到達点自体を上げることは、かなり難しいことを理解して、自己の客観的評価に役立ててもらえればと思います。

 

いつまでも浪人生活を送る受験生達

最高到達地点には個人差があります。

なぜ、こんな厳しいことを書くかというと、一人でも不幸な受験生を減らしたいからです。

難関校の受験生には、何年も浪人する人がいます。予備校で主といわれるような4浪、5浪の人はざらにいます。しかし、実際医学部に4浪、5浪で入学する人はほとんどいません。

つまり、彼らはほとんど合格する可能性がないといえます。実際、最終的に大学に合格せず人生を棒にふる人の話は枚挙にいとまがありません。

 

勉強時間が4000時間に到達しないような努力不足の人は、自己責任ですのでどうしようもありませんが、成績の伸びが低下しピークに達しているにも関わらず

「旧帝大の医学部に行く」

「あそこの大学はレベルが低いから嫌だ」

「俺は東大しかいかない」

「研究するにはあの大学だ」

と言っているのです。

 

そう言っている生徒は、何らかの大義名分を言ってはいますがプライドが高く、地方大学を馬鹿にする傾向にあります。医者になりたい、あるいは研究したいなら徹底的に勉強し2、3年以内で合格出来る大学に行くべきです。過度のプライドや到達不可能な目標は、経済的に周りに負担掛けるだけでなく、自分自身を不幸にします。

 

学力の最高到達点は、普通の勉強法であれば約4000時間近辺でやってくるのが、多くの受験生を指導した実感です。もし、自分の成績の伸びが鈍化しているのであれば自己を冷静に評価し、受験校を考えた方がよいでしょう。現在は、学歴社会ではなくなりつつあります。また、偏差値は、能力の一端を示すものであり、高いに越したことはないですが、社会で成功するには、コミュニケーション能力や問題解決能力あるいは、努力を持続する能力など、偏差値で測定できる能力より、もっと重要な能力が沢山あります。せっかく、そういう能力を持っているのに、偏差値至上主義に惑わされてしまわないようにすることが肝要です。

 

 

ほとんど勉強法を知らないのに合格する人達、2時間の勉強で東大に合格する人達

医学部や京都大学、東京大学に合格している生徒にはほとんど勉強を知らない生徒がたくさんいます。彼らは私立中学校受験者が多く、元々基礎体力が異常に高い上に、勉強時間に関しても小学校中学校で蓄積したプラスアルファがかなりあります。それゆえ、受験勉強時間も1500時間程度で合格出来る状態です。

また、公立出身者と私立出身者の大きな違いは、学習進度です。公立出身者は中学の間、能力があっても非常に簡単な内容を、時間をかけて行い、高校に急激に学習量が増えます。それでも、中学の進度が遅いつけはカバーできず微分積分が終わるのはセンター試験後なんてことはよくあります。一方、私立高校の生徒は、小学校の間に公立中学のトップより高い学力をつけ、中学の範囲は早いところでは中二の中頃に終了。高二までに全範囲終了なんてことはよくあります。つまり、私立の高二は公立の高三に相当するといってもよいくらいです。さらに、難関校向けの6年一貫教育の塾に行く生徒も多いようです。

公立出身は、私立出身者の能力、学習進度、学習環境などの違いを理解してください。私立特に灘や開成などの、有名校出身者の受験体験記を鵜呑みにしては、絶対駄目です。彼らの中には、勉強法も知らず無駄だらけでも、あり余る能力で本当に「受験勉強は毎日2時間」で東大に合格してしまうのです。

我々の家庭教師の経験でも、高二で教えに行った初日に「すでに東大合格できそうだな」「家庭教師は必要ないのでは?」と思うぐらい能力、環境に恵まれた受験生にめぐり合うこともよくあります。

 

旧帝大医学部は東大よりはるかに難しい

東大は最難関校であるのは、誰もがみとめるところでしょう。しかし、旧帝大の医学部は東大よりはるかに難しいといえます。まず、合格者が少ないために、確実に合格するには

相当高い学力が必要とされます。東大の先生が言っていたことですが、東大の合格者の下位3分の1は違う問題だと落ちる可能性は高い。真ん中3分の1は危ういということです。

これは、どこの大学でも同じですが、確実に通る生徒は上位3分の1程度です。人数が多ければ、運で合格出来る生徒の数が多くなりますが、医学部は人数が少ないために、得点率が非常に高く、運で不合格になる確率が相当高くなります。

また、旧帝大受験する教え子には、駿台や河合の東大や京大模試を受けてもらうことが多いのですが、かなり上位を取る生徒が多いようです。特に阪大や京大、東大医学部に合格する生徒は、物理、化学なしでも東大に合格出来る圧倒的な学力を持つ生徒が多いようです。

地方の国立医学部は問題が非常に簡単なため、努力で合格出来る可能性は高いといえます。勉強の基礎体力が低くても、勉強時間が長ければ合格出来る可能性があります。一方、東大の問題は、パターン問題が少ないので理系の場合は、勉強時間をいくら多くしても、基礎体力が低い場合は、合格は難しい場合が多いようです。東大と地方の国立医学部は同じ偏差値でも、合格可能性や生徒の質が異なるのです。しかし、2000年中頃より、東大の数学も相当易化しているので、努力で合格出来る可能性は高まってきています。

 

 

勉強漬けの人たちの結末

世の中には、2時間で東大に合格する生徒がいる一方で、恐ろしいほど勉強漬けになっている人達もたくさんいます。両親、特に母親が、教育熱心すぎる傾向があります。小学校から全く遊ばず、勉強以外は禁止で高校3年まで過ごしてきた生徒もいます。

勉強するのは悪いことでは決してないのですが、こういう生活を送っていると、勉強以上に社会で必要な、コミュニケーション能力、一般常識、体力、忍耐力など様々な能力が育っていない場合がよくあります。

小学校から勉強して目標校に合格すれば、まだ救われますが、目標校に合格すると本人のショックは相当なものです。また、合格してもコミュニケーション能力が身についていないために、人間関係がうまくいかず、一般の社会人として不適格な人が散見されます。

特に、医者を目指す人は、コミュニケーション能力がないと致命的です。また、他人の立場に立って考えることの出来る、共感力も、クラブ活動クラス活動などで身につけておいてほしいと思います。

受験の勝者で、人生の敗者にならないよう、偏差値のみの秀才にならないよう、気をつけてください。偏差値は能力の一つの側面にすぎません。本当に成功するのは、勉強以外

の総合力が物をいうことを知っておいてください。

 

 

勉強法は相対的なものだが、絶対的な必要条件がある

勉強法は人によって違うので、勉強に王道なしという意見を聞くことがあります。

しかし、勉強法を変えるだけでほとんど全ての生徒は急激に成績を伸ばします。

どのくらい成績が伸びるかは、本人の勉強の基礎体力、能力、やる気、勉強時間によって変わってきますが、

偏差値40から70

学年で下位からトップへ

数か月で東大合格

など数多くの経験をして、我々は勉強法で相当成績を上げられることを証明しています。

 

入試に必要な学習量は、決まっていますので、無駄を徹底的に排除し、必要な考え方を身につけ、記憶法に配慮すれば成績が上がるのは当然です。

 

但し、記憶法に関しては、映像記憶が得意なタイプ、音の記憶が得意なタイプ、書くのが得意なタイプなど、五感の発達度によって好みが異なるのは当然です。そういう意味で記憶法は相対的な側面があるといえます。

 

また、論理力の発達したタイプ、記憶力の発達したタイプなど、人によって論理と記憶のベストの配分を変える必要があります。そういう意味で自己を客観的に評価し、勉強法を常に最適化しなければなりません。

 

けれども、無駄を排除し、根幹にある考え方を理解して記憶量を大幅に減らすなど、誰にも当てはまる絶対的に重要なテクニックがあります。

合格のためには、勉強法の絶対的な部分と相対的な部分を理解する必要があります。

 

 

パレートの法則

経済学にパレートの法則というのがあります。

「全体の8割は重要な2割にある」

勉強に当てはめると、出題の8割は2割とは言わないまでも、4割の重要事項から出るといえます。

単語でいえば、学習必要単語が6000語の大学であればその4割の2400語を覚えれば、8割の単語の意味はわかります。

数学でいえば、帰納法、微分積分、定数分離など一部の重要事項を完璧にすれば、合格点は取れます。

医学部など一部の高得点率が必要な大学を除いて、二次試験の合格得点率は、想像以上に低いものです。センターで高得点をとれる基本学力を身につけた人であれば、思ったより少量の情報量で二次試験は合格出来ます。

その必要最低限の重要な知識や問題を解く上で重要な考え方を体系的に、家庭教師で教えると、成績は急上昇します。

普通の生徒が何千時間勉強しても、到達できないような体系化された考え方を教えるわけですから、成績があがるのは当然です。

 

 

 

 

ムダをなくす

勉強で一番の重要なことは無駄をなくすということです。

勉強というよりも、「受験勉強では」と言ったほうがいいかもしれません。

必要な重点事項に絞り、学校で習う不必要な項目は出来るだけカットする。人間が短期間に記憶できる量には限界があります。

 

ノートをきれいにするのに時間をかける

暗記ノートの作成

英訳をノートに書く

単語帳を作る

予習ノートの作成

などは無駄の典型的なものです。

 

無駄な勉強をするぐらいならクラブ活動や、友達と遊ぶ方がましです。高二までは無駄を省き、他の活動に力を入れ、受験生になったら勉強に全力を集中して、急激に成績を上げてください。

 

ただし、知識に関しては、無駄はありません。高校1,2年生までは知識を貪欲に、教養を身につけてください。教養は、社会に出た時の基礎体力です。また、研究者や開発者になりたい人は、自分の好きなこと興味のあることは、徹底的に追及する習慣を身につけてください。研究者で成功するためには、無駄や不可能と一見、見えるようなことを根気強く行い、諦めない忍耐力が一番重要です。ノーベル賞に選ばれたIPS細胞の山中先生がその好例でしょう。

勉強法を活用した要領と、知識習得への貪欲さの両立が、社会に出た時の成功の鍵です。

この本は、受験のための要領を重点的に書いていますが、人生においては知識を貪欲に習得し、無駄を実行出来る忍耐力が重要であることを理解しておいてください。

 

2章 勉強の基礎体力

1章で勉強の基礎体力の重要性について触れました。

では、勉強の基礎体力はどのようなものかこの章で考えていきましょう。

高校2年生までの人、保護者は目先の成績だけでなく、この基礎体力を増やすことに力を入れれば、受験生になったときに成績の伸びの速さと、最高到達点を高めることが可能となります。

受験生は、この基礎体力を身につけるには時間がないと思います。自分の弱点を把握し自己の客観的評価に役立ててください。また、あまりに足りない部分に関しては少し、改善する必要がでてくるかもしれません。また、記憶力が弱く、論理力が高い人は、論理的に考え、記憶量を大幅に減らしたりして、勉強法の改善に役立てることができるでしょう。

 

受験勉強は人生の一部でしかありません。決して最重要事項ではありません。大学に入ってから、人生で成功するために勉強の基礎体力を上げる習慣を身につければ、きっと人生の色々な場面で役立つことでしょう。

勉強に必要な能力は多岐にわたりますが、その中で特に重要なのが

国語力

論理力

速読力

暗記力です。

それぞれについて、具体的な内容とその伸ばす方法について考えてみましょう。

 

国語力

国語力は最高到達地点の非常に重要な要因です。

つまり、国語力が高ければ高いほど最終的な偏差値が高くなる傾向があるということです。

国語力は、国語の点数に直結するのは、もちろんのこと英語の伸びにも相当影響します。

以前に、家庭教師の教え子で国語の苦手な子がいました。外大に進みたいということで、英語を指導しました。

論理的な英語の読み方を教えることで、英語の実力が向上し、偏差値が45から65まで急上昇。しかし、そこで成績の伸びがストップしてしまいました。英文をどんな難解な文章も英訳出来ますが、その日本語の内容を十分に理解できないのです。国語の偏差値に15プラスしたぐらいの偏差値が、英語の伸びの限界であることが多いようです。その子の国語の偏差値は45だったので、英語の偏差値65は伸びた方かもしれません。

最終的には希望校に合格したものの、英語力ほどは、偏差値は伸びませんでした。大学に入ってからは国語力をつけるように指導し、努力の甲斐があって大学入学後、成績を着実に伸ばし、大学院に優秀な成績で合格し、大学講師の英訳の間違いを指摘できるほどになりました。

 

国語力をつけるには

語彙力

多量の読書

要約の練習

の三つが重要です。英語力をつけるのと同じです

高二までの受験生なら、出来るだけ新聞や論説分を読み、国語の授業の合間に教科書を何度も読み、要約を書いたり出来るだけ活字に触れることが重要です。

受験生は読書の時間がないので

 

センターの過去問で知らない語彙を調べる

現代文と格闘する」などの本で精読する

現代文重要単語などで重要語の概念を理解する

 

などで語彙力を鍛え、最低限の読書時間を確保するのがよいでしょう。

 

論理力

論理的に考える能力は、受験勉強で獲得できる能力で、人生においても有用な武器です。

国語力をベースにした論理的に考える力は、記憶力とともに学力の両輪をなすものです。

論理的に考えられることが出来れば、初見の問題も解くことが可能になります。また、論理的に分析する能力を身につければ、自己の不足点を客観的に分析し、受験校に必要な学力を把握し、間違った問題を次に間違えないための必要な考え方を習得する、など様々なことが可能になります。

 

論理的な能力は、勉強特に数学や物理など理系教科の学習で身につけることが可能となります。我々のメンバーの中にも、受験勉強時は、「受験に特化した学習なんか将来役に立たない」と考えていたメンバーが沢山います。しかし、社会にでて、論理的な思考が出来る人と出来ない人では、仕事の精度や成功確率がかなり違うことを経験し、受験勉強の有用性を初めて認識した人もいます。ラーメン屋などの小売業以外の業種では、起業し上場企業にまで成長させた、経営者に高学歴の人が多いのもうなずけます。

 

英語などは非常に論理的な言語です。そのために論理的な読解法を習得(構文力)すれば短期間に急激に成績を伸ばすことが可能です。

論理的な読解法を自分で見つければ、一番よいのですが、それが出来ないのであれば家庭教師や「ビジュアル英文解釈」など解説の詳しい本で、論理的な読解法を学ぶことが成績を最短で上げる方法です。

 

 

 

 

帰納的思考

帰納的思考は様々な現象から、一般的、普遍的な原則を見つける思考力です。

数学などで、色々な問題を単に解くだけでなく、共通点や相違点を見つけ「このタイプの問題はこうすれば解きやすい」とか、英語で、It is で始まる文は、3つのパターンが頻度が高いなど、共通点を認識し把握する思考が帰納的思考です。

 

帰納的思考を意識的にすることによって、学力を短期間に上げることが可能です。

帰納的思考というのは、わかりにくいかもしれません。

分かりやすくいえば、

色々な問題を解くときに共通点、相違点を意識する

ということです。

 

そして、帰納的思考するために勉強や考え方も変える必要があります。

具体的にいうと

 

一つの教科を短期集中で解くことで共通点を認識しやすくする

Aの問題はこのやり方で解いたのになぜBの問題では違う解き方をするのかを考える

 

などを普段から意識すれば、帰納的な考え方が身に付いてきます。

 

帰納的思考は非常に重要なものですが、注意があります。帰納的に有用な考え方を見つけるのは重要ですが、論理的な根拠を考える癖をつけてください。そうしなければ、考え方は単なる早合点になる可能性があります。

たとえば、微分の問題で、等号で結ばれた問題を両辺微分して、うまくいったことが数回あったとします。そこで、等式は両辺を微分するという考え方を見つけたとします。

しかし、そこで、なぜその方法が有効なのかを経験だけではなく、論理的(演繹的)に根拠を考えるようにしましょう。その結果、その方法がどのタイプの問題で有効で、どのタイプの問題で無効かを理解できるようになります。なぜでその解法が有効でどんなタイプで有効かを理解しないと実践では役に立たないのです。

帰納的思考と根拠を考える演繹的思考を組み合わせてこそ学力は伸びるのです。

 

速読

文章を早く読めるというのは受験のみならず、情報化社会においては大きな武器となります。

日本人の一般的な読書速度は1分間に500字程度といわれています。

東大や京大に現役で合格する生徒は約1000字程度といわれています。単純に2倍の速さで同じ内容の文章を理解できます。

そうすれば、同じ参考書を読むのにも半分の時間ですむ

時間が短く終わるため復習のサイクルが短くなる→記憶量アップ

試験の時に同じ学力であれば早く問題を解けるため、間違いなおしの時間がとれる

などのメリットがあり、結果的に半分近い勉強で成績を上げることが出来ます。

短時間で合格出来る受験生の秘密の一つです。

 

では、読書スピードを速めるにはどうしたらいいでしょう。

音読をやめる

人生の読書量の総量と読書スピードは相関傾向がある→読書量を増やす

勉強以外の読書で普段から早く読む意識を持つ

 

脳には可塑性という柔軟性があります。高速道路で走った後一般道を走ると遅く感じるのは、脳の処理速度が速くなっているためです。

同様に、早い速度で読むことを続けると早いスピードで読むことに慣れてきます。

 

速読に関しては、我々の中にも多額のお金をかけて挑戦したものがいますが、多くは

詐欺的なものが多いです。1分間に1万字以上だとか金額が高いものはまず怪しいと思って構いません。東大卒の医師が開発した速読法で90%以上速読達成というのをみて、多額のお金を払って受講した人がいます。しかし、受講生のだれも速読できておらず完全に詐欺だと怒っている人も実際にいますのでくれぐれも注意してください。

 

1分間に1000字から2000字程度をしっかり内容を理解して読むほうが、受験勉強に適しています。そのために、高校1年までの人であれば、読書量を増やし、音読をやめ、スピードを意識して読む練習をすれば必ずスピードはあがります。速読に関しては、機会があればまた詳しく解説したいと思います。

 

 

暗記力 

論理力とともに、受験勉強の基礎体力の要である、暗記力についてです。

暗記にもいくつかの法則があります。

 

何度も間隔をあけて接する

感情と興味を伴う記憶は強い

五感を使う

という法則です。

 

単語を覚えるときに、60秒間ずっと「book本」「book本」と繰り返すよりも、5秒間「book本」と言った後に、別の単語を覚えて少し間隔をあけてから5秒間「book本」と繰り返し、また別の単語を覚えてから5秒間「book本」を見るという風に、間隔をあけて何度も接する方が、記憶力が高まります。

また、1日に60分かけて単語を覚えるくらいなら、10分間ずつ6日間、毎日見た方が、記憶力が高くなります。分毎に日毎に間隔をあけて繰り返すことが記憶のポイントです。

記憶のシナプスに何度も刺激を与えて、記憶回路の抵抗をさげることが記憶のポイントです。

 

 

感情と興味を伴うと記憶力は強化されます。家庭教師の生徒で、勉強の記憶は、からっきしダメなのに、趣味に関して異常な記憶力を持っている生徒に出会うことがよくあります。彼らは、趣味に興味があり、様々な感情を伴いながら、趣味に接しているために記憶力がアップするのです。覚えた単語を忘れたときに「ああ、またこの単語わすれた」「この公式変だな」とか、わざと感情を作って覚えるのは記憶力増強に役立ちます。

また、語呂合わせやこじつけなどをつけて、自分の好きなものや好きなタレントに関連付けたりすると記憶しやすくなります。

 

五感を使う

何かを覚えるときに、それを見るだけでなく書きながら、声に出して聞きながら覚えるとよく覚えられます。耳の記憶が得意な人、映像記憶が得意な人、書いて覚えるのが得意な人など自分がどのタイプか早めに知っておく(自己の客観的評価)ことが重要です。

ただ、書きながら覚えるというのは時間がかかるので、出来るだけ見て声に出しながら記憶した方が、効率は高くなります。単語帳を作りながら覚えるというのは時間のコストパフォーマンスが非常に悪くなるので要注意です。どうしても書きたい人は、本当に重要な事項だけにするようにしたほうがよいでしょう。この五感と感情を合わせた五感プラスαつまり六感が記憶にとって重要であることを意識して覚えてください。

 

4回の法則

記憶は間隔をあけて繰り返せば繰り返すほどよいと書きました。

では、どのくらい繰り返す(何日繰り返す)がベストでしょうか?

答えは、個人差が相当あるということです。

旧帝大や医学部に合格出来るような基礎体力の高い人は、2,3回くらい復習したら覚えてしまい、その記憶が年単位で持続するようです。1回見れば何年も覚えているという人が、難関校に合格する人たちの中には、稀にいます。

指導した生徒では、平均的には4回(4日)ぐらいの生徒が多いようです。

つまり、単語であれば間隔を数秒あけて4回見る→その日の寝る前に復習→翌日復習(4回見る)を4日続けると覚えるという生徒が多いようです。

4回見て記憶想起の作業を4日間という4回の法則で覚える生徒が多いといういうことです。それぐらい記憶のためには、何度も繰り返す必要があるということです。

この4回の法則を覚えて、何度も間隔をあけて接することを心がけてください。

 

インプットよりアウトプット

記憶というとインプットばかりしてアウトプットをしない生徒を見かけます。こういう人は、内容を覚えているか確認出来ず、記憶力自体も高めることができません。

どういうことかというと、物を記憶するためには、インプットよりアウトプットつまり記憶を思い出すという作業が重要で、思い出す(アウトプット)作業自体が記憶の回路を強化するのです。

一説には人間は、一度見たことはほとんど覚えているということです。外傷や電気刺激など、なんらかの刺激やきっかけで過去の完全に忘れていたことを思い出すのはそのためです。それゆえ、インプットではなくアウトプットの回路を作れるかどうかがテストでの成績を左右することになります。

 

具体的に見てみましょう。単語を覚える場合に「book本」というのを何回も見るだけでは、入力のみです。記憶はなかなか定着しません。「book本」「book本」と2回見た後に本という訳を隠し、「book」の意味を自分で思い出そうとします。それを数回くりかえします。思い出せても思い出せなくても、「book」の意味を何度思い出す、すなわちアウトプットすることが重要です。こうすることによって、想起する回路が形成され長期記憶が可能となります。

 

数学においても、解答を何回も見るだけでは実力はつきません。解答を覚えたら必ず自分で解くというアウトプットを行うこと。それにより、自分の理解していないところも明確になりますし、記憶が定着します。

インプットよりアウトプットを意識して勉強してください。

 

 

超高速暗記

暗記に重要なポイントがもう一つあります。

それは、覚える対象を見る時間を極力短くし、回転率を上げるということです。

暗記にかける時間を短くするためにもこれは非常に重要なことです。

これは、「何度も間隔をあけて覚える」と関連します。覚える時に、見る単位時間を出来るだけ短くして、見て思い出すという作業の回数を出来るだけ多く増やすのです。

 

回転数×単位時間=覚えるのに必要な時間

ですが、覚える単位時間を極力減らすことによって、必要時間を増やすことなく、回転数を出来るだけ上げます

 

単語を20個覚えるなら、意味を隠しながら1個、1個の単語の意味を思い出す作業を行います。その際に、出来るだけ短時間で、早く見て早く思い出すようにします。スピードアップの意識が重要なのです。意識的に、「見る」「思い出す」の作業を速く行い、見る想起するという一回の作業を、短時間に超高速回転するわけです。

これは、記憶は時間よりも、見た回数、思い出した回数に依存するという法則に則った記憶法です。

 

 

右脳暗記

右脳と左脳では働きが異なるというのはよく知られています。

左脳は論理的思考、右脳は映像や音感、芸術など感性に関する分野で働くといわれます。

右脳が優位か、左脳が優位かは個人差があります。どちらか片方100%優位ということはないですが、どちらの思考が得意かという傾向はあります。

左脳的思考が得意な人は理屈っぽく、数学などが得意です。右脳が優位な人は、夢がカラーだったり、人の顔を覚えるのが得意で映像を頭にイメージすることが得意です。勉強に向いているのは左脳優位タイプですが、右脳タイプは映像記憶が得意であるという利点があります。

右脳タイプは、映像を活用しながら覚えるのが、良い記憶法です。たとえば、日本史では縦の歴史の流れを、自分の好きなタレントにイメージの中で演じさせたり、地理の生産順になどをイメージに絡めて覚えると、驚くほど速いスピードで記憶できたりします。

また、単語帳なども様々な色のマーカーを使い、覚えるのに役立てたらよいかもしれません。

右脳タイプは、受験には、少し不利な面もあるかもしれませんが、医師、特に外科医などの適性は非常に高く、こういう人に頑張って医師になってほしいものです。また、建築家や開発者など、創造性とイメージが必要な職種など、右脳タイプが社会にでて成功出来る可能性は高い面もあります。

 

 

シナプスは繋がっている

脳にはニューロンという細胞があり、ニューロン同士が繋がることによって記憶が形成されます。何らかの情報とむすびついた記憶は思い出しやすいですし、記憶は強固になります。

たとえば、昔の音楽を聴くと、その時の思い出や感情など、色々な情報を思い出した経験は誰にでもあるでしょう。これは、音楽と記憶が、脳のシナプスの繋がりによって関連付けされているために生じる現象です。

単語を音として覚えるのは、相当大変なことです。単語を日本語の意味や文章の内容と関連付けて覚えると、情報量(bit数)は増えますが、それにかかわらず記憶はよりやさしくなります。

また、なにかと関連付けして覚えると記憶しやすいだけでなく、思い出すきっかけをつくりやすいといえます。記憶するときは、常に何かと関連付けて覚えるようにしましょう。

 

 

 

 

脱エピングハウス曲線

記憶の話で必ず登場するのが、エピングハウスの忘却曲線です。記憶したものを1時間後に覚えなおすと、再度記憶しなおすのに約5割の時間ですむが1週間だと8割の時間必要となるというものです。この曲線は非常に有名ですが、ほとんどの本で間違って解釈されています。 多くの本で、1週間後には8割忘れるとなっていますが、この実験は、本当は、記憶に要する時間の話で、何割覚えているかの実験ではありません。そう意味では、まさに受験勉強時間の節約に非常に参考になる研究です。

この実験で参考になるのは、記憶は、記憶直後に急激に忘却され、覚えなおすのに相当時間を要するということです。

この研究によると、1時間後でも、覚えなおすのに相当時間がかかると考えられます。そのため、復習は1時間後、翌日、1週間後というパターンがよいと書かれている本もよく見かけます。

しかし、この実験は、意味のない音を記憶した実験であり、実際の記憶では、何らかの意味を持ったものを記憶することが多いため、忘れる時間は、もっと後に(遅く)なります。

エピングハウス曲線の研究は、無意味な言葉の記憶の話であり、実際は、覚える内容、記憶力、集中力によって相当結果は変わってきます。それゆえ、それぞれの記憶対象や記憶力にあったテーラーメード(個人に一番合った)忘却曲線を出来るだけ早く見つけたいところです。

参考までに、平均的な生徒の記憶でいうと、日本史や地理などの場合は、

記憶→寝る前復習→翌日復習→1週間後復習で記憶出来る人が3割

記憶→寝る前復習→翌日復習→翌々日復習→1週間後復習で覚える人が4割程度

の印象です。

記憶のサイクルを見つける目的は、復習を含めた記憶時間の合計を最小にすることです。

多くの受験生がやっているように、単語集を最初から覚えて、本を終わるころには全部わすれてしまい、もう一度最初から覚えなおすといった無駄な勉強はしないようにしましょう。忘れる前に復習することが一番重要なのです。

また、数学など論理的な意味づけを出来る教科は、復習の頻度が少なく、記憶時間も長い傾向がありますので、復習の頻度や期間を変える必要があります。

 

 

 

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